畳の性能

畳は日本の気候・風土に適した優れた素材

畳は、和室の床に用いられる伝統的な建築素材です。畳という床材料は、住宅文化の中で世界に例を見ない、日本独自に発達してきたもので、独特の文化を象徴するものとなっています。しかし最近は住宅建築の洋風化がいっそう進み、和室の存在は希薄になりつつあります。また一方では畳の良さというものも見直されつつあり、和室という住文化が日本の伝統を継続し日本人の精神形成に欠かせないものとして注目されています。
最近の生活様式や住宅建築を見るとき、必ずしも伝統的な従来の畳だから性能を満たしているとは言い切れない状況が表れるようになってきました。例えば気密性が高い建築工法や冷暖房設備、あるいは住まいの方の変化の中での和室の床材料としての畳には居住環境上いろいろな問題も発生しています。
そこで、改めて現代の生活、建築における畳という床材についてその性能を捉え直してみることが必要になってきました。ここでは畳の基本的な性能と試験結果による具体的な評価のいくつかをご紹介します。

・曲げ強さ
畳は、その構成材料や畳床の厚さによって曲げ強さが変わります。硬さや剛性、或いは弾力性など、畳に要求される基本的な性能として捉えられます。すなわち、畳の丈夫さ(強さ)を意味しています。

・硬さ
畳には、ある程度の弾力性と柔軟性のある硬さが必要なのです。例えば、畳の上で転んで頭や身体を打ちつけた場合でも、畳には衝撃を吸収する柔軟性があるのです。

・圧縮強さ
畳は、長年にわたる使用にも耐える性能でなければなりません。人の歩行によって繰り返し踏みつけられたり、家具などによって長時間押さえつけられもします。厚さ40センチにも積み重ねた稲藁をわずか5センチまでに圧縮することによって生じる復元力が、稲藁(いなわら)畳床の弾力性と耐久性を生みます。

・畳の吸放湿性
畳に使用されている稲藁(いなわら)や、い草(畳表)は自然の素材です。素材の特性から僅かながら湿気を吸収し、また放湿する性質があります。しかし、吸湿する速度に比べ放湿する速度は遅く、蓄湿する傾向があります。従って、放湿効果を上げるためにはこまめな換気が望まれているのです。畳の吸放湿量の測定結果

・畳の断熱保温性
稲藁(いなわら)には熱を伝えにくい特徴があります。稲藁の空洞がその高い断熱性の秘密です。また、一度暖かい状態になると熱を逃さない保温の役目をします。

・寸法安定性
畳は、敷きこんだ後に若干の寸法変化が起こることがあります。それは畳床の膨張や収縮によって起こることが考えられていますが、極端な吸放湿がない限り、隙間が空いたり畳が持ち上がったりということはまずないといえます。

・床衝撃音遮断性
稲藁(いなわら)の沢山の空洞に含まれる空気が、音を吸い込む吸音効果をもちます。また、一般に遮音性は重量に比例すると言われますが、稲藁畳床の重量感がここでは長所になります。畳の種類にもよりますが、例えばコンクリートの床に敷いた場合の「衝撃音」はかなり改善されることが分かっています。畳の床衝撃音遮断性